相談:発達上の特性から片付けが苦手な子にどう対応したら?

発達上の特性に関係無く、子供へのアプローチを理解する点からも役に立つかと思います。
保育士おとーちゃん 2025.03.12
読者限定

相談のコメントをいただきましたので、こちらで回答していきますね。

文字の情報だけのやりとりではどうしても限定されてしまいますので、ここでお伝えできるのはあくまで一般論の範囲です。

必ずしもこうすればこうなるというものではなく、参考例の一部とお考え下さい。

また、ここでお伝えできるのは専門的な訓練方法といったものではなく、子育ての範囲での内容になります。

以下いただいたコメントの転載。

↓ここから

>いつも心温まる子育てレターありがとうございます。
保育士をしながら日々の子育て悩み中ですが通勤の満員電車の中で読ませて頂くのが楽しみとなっております。

今回の「肯定で育てる」ですが

中学3年の娘がADHDで片付けが苦手ですというか 片付けが出来ません。

娘の部屋は教科書やプリント類 脱ぎ捨てられた制服が散乱していて 溜息しか出ない中 定期的に「お手伝いするから一緒に片付けよ〜」と声をかけても空返事で悩んでいます。

その反面 クッキーやケーキ パン作りは大好きで 楽しそうにキッチンに立つ姿を見ると あ〜こうやってADHDの生きづらさとバランスをとっているのかもな?とか思ったりしながら 使ったキッチンは必ず片付ける約束で パン作りの材料などを提供しています。

凸凹ちゃんの勉強は 英語が得意ですが副教科はサッパリなので 今春から通う高校も外国語コースを選択しました。

高校生活 楽しんでくれたらと願うばかりなんですが 毎日毎日片付けられない娘の姿をみるのが かなりストレスなんです。どうしたらいいでしょうか?

↑転載ここまで

いつも読んで下さってありがとうございます。

保育士さんをなさっているのですね。娘さんが中学3年生でADHDとのこと。
それゆえ片付けが苦手というわけですね。

すでにご存じのことかとは思いますが、他の読者の方もおりますのでこうした発達上の特性を考えるときのポイントから。

発達上の特性についてはいずれ記事としてもまとめようと思いますが、ここでは簡単に。

子供というか人間はそれぞれ違いますね。当たり前のことですが。

しかし、現実にはその当たり前のことがしばしば当たり前では考えてもらえない場面が多々あります。

人の平均的な能力を前提に社会や生活上のさまざまなものが作られていたり、当然のことと考えられています。

実際には、人にはさまざまなあり方、成長・発達の仕方、特性があります。

そうした個性が大きいと社会的だったり、生活上に困ることが増えてきてしまいます。(左利きの人もそうですよね)

ある人にはなんでもないことも、個別の人にはすごく難しかったり、頑張ればできるのだけどその頑張りを維持するのはとてもしんどいことだったりします。

今回のケースでは、片付けが苦手という個性があるわけですね。

◆特性を考えるときのイメージ「唐辛子の辛さの得手不得手」

こうした個性・特性を考えるときイメージしやすいのが、辛い食べ物の得意不得意です。

唐辛子の辛さが苦手な人いますよね。逆にとても好きな人もいますよね。

どっちであっても世間一般に、そういうばらつきのあるものと理解されています。

唐辛子が苦手な人に、何が何でも食べられるように訓練しなければということはそうそうないでしょう。

これが、特性を特性としてそのまんま受け止められている状態です。

しかし、発達上の特性になると、世間はなかなかそのようには見てくれません。

「なんでできないの?」

「なんで頑張らないの?」

「やらないのは甘え」

「努力が足りない」

「頑張ればできるでしょ?」

といった負の見方をされることがあります。

唐辛子ではそんな見方をされることがほとんどないのに・・・・・・。

発達上のあり方を個性による差という風にはなかなかとらえられない現在の社会の空気があるわけです。

中には発達上の個性・特性であっても、なんとかして直した方がいいものもあります。

例えば、思考が極端で加害的な対人関係になってしまうケースや、正直すぎて対人関係がうまくいかない場合など。

うえでは「直す」と言ってしまっていますが、正確には「直す」「治す」ではなく、発達をうながすや特性を踏まえた対応方法を身につけるというものです。

そういうあり方をしているのが悪いわけではないですし、病気などでもないので、「直す」「治す」という考え方は適切ではありませんね。

さて、ここまでが簡単な前提知識です。

では、相談いただいたケースについて考えていきます。

◆外の社会でできている=必要な場面ではやる能力がついている

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続きは、3479文字あります。
  • ◆ストレス(イライラ)の元をたどる
  • ◆「私」を使うアプローチ
  • ◆最低ラインを共有するアプローチ

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